戦争は女の顔をしていない 第3巻2022年12月29日

戦争は女の顔をしていない 第3巻
戦争は女の顔をしていない 第3巻
小梅 けいと  画
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ  原作
KADOKAWA    1,100円

「戦争は女の顔をしていない」第1巻
https://mansion.asablo.jp/blog/2022/10/19/9534162

「戦争は女の顔をしていない」第2巻
https://mansion.asablo.jp/blog/2022/11/30/9544657

その続きです。

第2次世界大戦、
前線に出ていったソ連の若い女の子たちにインタビューしたレポートです。

牛を差し出せば戦争はしないって言ってくれたら、
牛を差し出すわ。
私が味わったような目に子供たちを合わせないためなら。

血は水じゃないからね。
こぼしちゃもったいない。
でも、
毎日毎日流されている。
テレビで見ているよ。

あそこに行っていたことが残念だよ・・・
ああいうことを見てしまったことが…
あたしは祖国に対する義務を果たしたんだ。
でも自分があそこに行っていたことが悲しいよ。
ああいうことを知っていることが・・・

私は敵が憎かった。
井戸に投げ込まれた子供の叫び声が、今でも耳に残っています。
ノコギリで、いくつかに切り分けられた若者を見たことがあります。
丸太のように切ってあるのです。
パルチザンの仲間です。
こういうことのあとで任務を遂行しに行くと、
心はひとつのことしか望んでいません。
「奴らを殺し、殺し尽くせ。」
「少しでもたくさん殺せ。」
「もっとも残虐な方法で。」
(中略)
こういうことを全部かかえて生きていくのは、
どんなに辛いかおわかりいただけないわ。
時がたてばたつほど辛くなる。

飛行機とか戦車とか、誰がこんなものを思いついたんだろ。

戦争が終わるまで生き延びられたら、
戦争のあとの人々は、どんなに幸せな人たちだろう!
どんなに素晴らしい生活が始まるんだろう。
こんなに辛い思いをした人たちは、お互いをいたわりあう。
それはもう違う人たちになるんだね。そのことを疑わなかった。
これっぽちも。
ところがどうよ・・・
またまた殺しあっている。
一番理解できないことよ。

ひとつは憎しみのための心。
もう一つは愛情のための心ってことは、あり得ないんだよ。
人間には心が一つしかない。
自分の心をどうやって救うかって、いつもそのことを考えてきたよ。



戦争は悲惨です。
2度と起こしてはなりません、ということを思い知らされます。
ロシア国民に是非とも読んで欲しい本です。

知らなかったけれど、
著者は、ノーベル文学賞受賞作家らしい。
ウィキペディアによれば、
2015年、ジャーナリストとして初めてノーベル文学賞を受賞したということ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%81