デフレの正体(その4)2018年02月26日

デフレの正体(その4)
デフレの正体
経済は「人口の波」で動く

藻谷浩介 著   角川書店 (新書)    782円(本体:724円+税)

その3から間が空きましたが、続き、その4です。

日本の構造問題は、「生産年齢人口減少に伴う内需縮小」である。
生産年齢人口が減るペースを少しでも弱めるためには
出生率上昇では効果が薄い。

いくら出生率をドラスティックに増やしても、
出生者数は、そう簡単には増えない。
率と絶対数は違う。

出生率は、出生者数を増減させる2つの要因の1つに過ぎない。
もう一つの要因は、出産適齢期の女性の数の増減だ。
その出産適齢期の女性の数は、今後20年間で少なくとも3割程度、
40年間では半数近くまで減少してしまう。

子供を増やすことは大事。
しかし、
それは団塊世代の加齢(生産年齢人口からの退場)という
目下の一大課題の解決には、全くならない。

外国人労働者受け入れも事態を解決しない。
生産年齢人口は、20年先には1,400万人減り、
40年先では、3,200万人減少する。
その減少数を外国人の増加で埋められるわけがない。

ここまで暗い話ばかりでした。
では、どうすればいいのか?

筆者はいくつか提言をしています。

先に筆者はこう述べてます。

日本経済が目標とすべきは次の3つ。
 1 生産年齢人口が減るペースを少しでも弱める。
 2 生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やす。
 3 (生産年齢人口+高齢者による)個人消費の総額を維持し増やす。

具体的には、誰が何をするべきなのか?

 1 高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進
 2 女性就労の促進と女性経営者の増加
 3 訪日外国人観光客、短期定住客の増加

この3つだと言う。

まず、1番目について
1 高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進

若い世代とは子育て世代の20代から40代前半。
高齢富裕層が消費に回さずに
保有している資産の1%でも移転すれば・・・

更に、
民間企業は、団塊世代の退職で浮く人件費を
若者の給料に回すように、と筆者は言う。

また、高齢者市場を開拓し、
高齢者が死蔵している貯蓄を積極的に取りに行く。

政府ができることは、生前贈与を促進すること。
相続を受け取る側の平均年齢は、67歳。
これでは、受け取った側が相続財産を積極的に使うことは望めない。
生前贈与の促進策で、一気に若い世代への所得移転を進めるべし。

次に第2の策
2 女性就労の促進と女性経営者の増加

日本の女性で有償労働をしていない生産年齢人口の専業主婦は、
1,200万人いる。
片や
団塊世代のうち有償労働をしていたのは、500万人余り。
生産年齢人口の専業主婦の4割が、
1週間に1時間以上お金をもらって働いてくだされば、
団塊世代の退職が雇用減、所得減という形で
日本経済に与えるインパクトは、なかったことになる。

専業主婦を働き易くすることが大事。

この項、さらに続く。