あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その4)緩衝地帯とウクライナ2025年10月30日

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学
あの国の本当の思惑を見抜く 地政学
社會部部長 (著)  サンマーク出版   1,800円+税

続きです。

地政学では、国々を「海洋国家」と「大陸国家」に大別する。
海洋国家は海とかかわりが深く、国防を海軍に頼る国。
分かり易い例は、日本やイギリスのような島国。
島国ではないが、アメリカも海洋国家。
南北アメリカ大陸で唯一の大国であり、どの国からも陸伝いで脅威を受けないため、国防を海軍に頼るから。

大陸国家は陸とかかわりが深く、国防を陸軍に頼る国。
代表例はフランス、ドイツ、ロシア、中国。
どの国も陸上で他の大国と近接していて、外敵に攻められる際は最初から陸軍が矢面に立つ。

海洋国家と大陸国家には防御のしやすさに明確な差がある。
海洋国家は防御有利、大陸国家は攻撃有利。
この違いが、それぞれの行動原理を根本的に異なるものにする。

海洋国家は他国から距離的に離れている上に、海が敵軍の移動を阻害するので、わざわざ攻撃的な行動をとる必要がない。
大陸国家であっても、険しい山や深い森で他国と隔てられている場合は、海洋国家と同じくらい防御がしやすい。
防御有利の状態が成立するため、安全保障のジレンマが緩和され、平和になりやすい。

大きな自然障壁を持たない大陸国家が問題。
他国と直に国境を接していて、海もない。
防御不利だ。
距離、地形、海のうち、距離を作り出して防御を固めることしかできない。
最善の防御策は、領土拡大。
領土拡大を通して、他国を少しでも遠ざけることで、「戦略縦深」という名の人工的障壁を獲得する。

最善の防御策が領土拡大である環境は、必然的に安全保障のジレンマを引き起こす。
この状況で緊張を和らげる効果を持つのは、「緩衝地帯」。
強い2つの大陸国家の間に弱い国が挟まることで、双方が距離的に離れる状態と、両国とも弱い国しか隣にはない、安全な状態を作り出す。

しかし、実際には、
緩衝地帯が長期間中立であることや、そもそも国として存立し続けることはあまりない。
なぜなら、
緩衝地帯が敵方につくことを双方の国が恐れ、それを防ぐために自らの勢力下に置こうとするから。
2014年からのウクライナ情勢はこの典型例。

ウクライナのNATO加盟への動きは、ロシアには脅威。
2014年のクリミア半島、2022年のウクライナ東部占拠で、ウクライナとは切り離された事実上の緩衝地帯を新たに設けた。

原則として、
国際情勢は防御有利で安定、攻撃有利で不安定になる。

この項、まだまだ続く。

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