20歳のときに知っておきたかったこと(その4)最終回2011年09月29日

20歳のときに知っておきたかったこと
「20歳のときに知っておきたかったこと」 スタンフォード大学集中講義
ティナ・シーリグ 著   高遠 裕子 訳
阪急コミュニケーションズ   1,470円

最終回です。

p.103
ここで大事なのは、問題が起きることをジェフが想定していた、という点です。
どんな問題かがはっきりわかっていたわけではないが、いざという時に即座に対応できるだけの心の準備ができていた。

西堀栄三郎著 「石橋を叩けば渡れない」にも、同じようなことが書いてあった。

p.110
成功だけに報いると、リスクをとろうとしなくなるので、イノベーションが阻害される。

成功とともに、失敗も評価し、何も行動しないことを罰する方法を検討してはどうか。

そうすれば、いろいろ試すようになり、それが面白い結果や思いがけない結果につながる。
賢い失敗を評価すべきだ。
クリエイティブな組織をつくりたいのであれば、何もしないことは最悪の類の失敗だ。

想像力は行動から生まれる。何もしなければ何もうまれない。

p.122
一所懸命取り組むことが成功の鍵である。
好きなものであれば、人は一所懸命取り組む。

p.131
後から見ると、ほとんどの出来事や発見は、焦点が合ったように明確になる。
自分のキャリア・パスは、振返って見ると、ちゃんと筋道が通っている。
自分のキャリアを狭くとらえて、その枠の中でしか動こうとしないのは間違いであり、面白いチャンスを絶えず与えてくれる組織で働くべき。

p.137
一番大切なことは何か。
仕事だとは思わずに取り組める役割を、社会の中に見つけることだ。
スキルと情熱と市場が重なる場所を見極められたとき、その役割は見つかる。
それは、やりがいがあるというだけではなく、前向きに情熱を傾けられ、人生を豊かにしてくれる。
ぴたりとはまる役割を見つけるには、実験を繰り返し、多くの選択肢を試し、周りから明に暗に受け取っているメッセージを検証し、正しくないと思えば突っぱねることが必要だ。

p.145
「運のいい人たち」には、その他の人たちよりも幸運を呼び込みやすい共通の資質がある。
目の前に転がってきたチャンスを活かします。
未知のチャンスを歓迎し、経験のないことにも積極的に挑戦します。
楽天的でもあり、自分にはいいことがおきると思っている。
よき観察者であり、開かれた心を持ち、人当たりがよく、楽観的な人は幸運を呼び込む。


p.148
よほど意識して努力しないと、身の回りに注意を向けることはできない。

p.152
目先の利益にとらわれず、幅広い経験を積み、知識の幅が広がれば広がるほど、自分の引き出しは増える。

p.160
目標を絞り、ひたむきに努力すれば、幸運が舞い込む確率は上げられる。
しかしながら、努力以外にも使えるツールはたくさんある。
できるだけ幅広い経験そし、その経験を独自の方法で結びつけること。
恐れることなく、自分の人生を演じたいステージにあがろうとすること。


p.162
お礼状は書いて当たり前で、書かないのはよほどの例外だと思ってください。
実際にそうしている人は少ないので、マメにお礼状を書けば目立つこと請け合いです。


p.167
判断に迷ったときは、将来そのときのことをどう話したいのかを考えればいい。
将来、胸を張って話せるように、いま物語をつむぐのです。

p.176
人助けも大切な習慣です。
母に電話をして、電話を切る前に母は、「何かしてあげられることはない?」と聞いてきました。
母のこの気遣いがうれしかった。
母にしてもらえることはほとんどないのだけれど、必要があればいつでも手を貸してくれるとわかっているだけで安心しました。

p.179
世の中では、ほぼ全てのことがチーム単位で進められている。
自分以外の人たちを成功させる術を知らない人たちは、いちぢるしく不利になる。
最高のチームプレーヤーは、他人を成功させるために労を惜しまない。
組織内で地位が上がるほど、個人としての貢献は重要でなくなる。
その代わりに、下の人たちを引っ張り、奮い立たせ、やる気を引き出すことが役目になる。
さらに偉大なリーダーは、各人が長所を活かせる方法を見つけ出している。

p.182
多くの責任を背負いすぎると自分の首を絞める。
欲張って自分の皿にあれもこれも載せてしまうと、消化不良になるのがオチです。
生活の変化とともに優先順位は変わると自覚した上で、そのときどきで三つの優先順位を決める方法がある。
大多数の人間は、遂行できるのは一度に三つまでであることが発見されている。
中隊長は3人の小隊長を束ね、小隊長は3人の分隊長を束ね、分隊長は3人の班長を束ねる。

p.188
学生に期待することの最後のポイント。
「光り輝くチャンスを逃すな」
学生たちは、潜在能力を最大限に発揮する。
「最低限の条件を満たす」のではない。
最低基準を満たすのは簡単。でも、こうした限度をはずしたときにこそ、目を見張るような素晴らしいことが起きる。

p.192
光り輝くとは、いつでも期待以上のことをすると決意すること。

p.197
競争がすきなのと、目標達成の意欲が強いのとでは、大きな違いがある。
目標達成の意欲が強い人は、自分自身の情熱を掻き立てて事を起こす。
偉大なリーダーの多くは、周りの人たちの成功に刺激され、やる気になっている。

p.209
このコースを巣立っていった学生は、実験し、失敗し、もう一度トライしてもいいと許可を得ていることを知っている。
許可をするのは自分であって、外から与えられるものではない。
私たちはこの点を知りさえすればいい。

p.214
不確実性こそ人生の本質であり、チャンスの源泉だ。
不確実性こそが、イノベーションを爆発させる火花であり、私たちを引っ張ってくれるエンジンだ。
快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りないかの生が広がる。
問題は実はチャンスなのだ。
問題は解決できるのだ。

この項、終わり。