無趣味のすすめ(その3)最終回2013年11月07日

無趣味のすすめ
「無趣味のすすめ」
村上龍 著  幻冬舎 1,200円

更に続きです。これで終わりです。

p.208
ダメな文章を書く人は、文章が下手なのではなく、
そもそも自分が何を伝えようとしているのか、自分で理解していない場合が多い。

p.218
アイデアは「組み合わせ」であって、発見ではない。
魅力的かつ新鮮味のある「組み合わせ」を思いつくには、どうすればいいのだろうか。
組み合わせの素材・アイテムには、
記憶として蓄えられているデータと、新たに入手・準備した外部資料がある。

発想力は、遍在する記憶を徹底的に「検索」し、
適したものを意識の表面に浮かび上がらせる力。
その力は、筋肉と同じで鍛え続けないと退化する。
発想力を鍛え、維持するには、
他の誰よりも「長い時間集中して考え抜く」という
ミもフタもないやり方しかない。

脳が悲鳴を上げるまで考え抜いて、ふっとその課題から離れたときに、
湖底から小さな泡が上がってくるように、アイデアの核が浮き上がってくる。

直感は、果てしない思考の延長線上でしか機能してくれない。

p.226
失敗で何かを得ることができるのは、
挑戦する価値があることに全力で取り組んだが、
知識や経験や情報が不足していて失敗した、という場合だけだ。

そこから何かを得ることができる失敗をするためには、
挑戦できる何かと出会うことが前提となる。
条件は「飢え」だ。
出会うことに飢えていなければ、
それが運命の出会いだと気付かないまま、すれ違って終わってしまうだろう。

この項、以上で終わり。