しなやかな日本列島のつくりかた2015年06月01日

しなやかな日本列島のつくりかた
「しなやかな日本列島のつくりかた」 藻谷浩介対話集
藻谷 浩介 著  新潮社  1,200円

実は、この本も図書館で借りたけれど、
読み終えないまま、返却期日が来てしまったものです。

途中までしか読んでないけれど、面白い、おススメの1冊です。

「商店街」は起業家精神を取り戻せるか
p.20
後継者がいない
商店街も郊外団地も
不動産が死蔵化してしまっている

商店街は世間で思われているより、はるかに歴史の浅い近代の産物で、
社会の変化とともに存亡の危機にある。
でも、ある部分では絶対に残すべき価値のあるものを含んでいるし、
今後の可能性を模索できるはず。

実験的な試み
高松市の丸亀町商店街再開発事業

所有者がわからないから誰も使えない、
他のことに転用したくても手を付けられない「腐った土地」が大量に現れている。
今後、少子化と高齢化に伴って、ますます加速度的に増える。

震災復興が進んでいないのは、
個々人が持っている土地所有権などの権利が、相続でゴチャゴチャになって、
まったく処理できない状態だから。

そもそも本当に町が必要なのか?
必要なものはネットで注文すれば何でも自宅まで配送される。

町って記憶の集積体だ。

「限界集落」の効率化の罠
p.45
「高齢化の末の消滅」ではない
集落の実質は、子連れ世帯が離村した昭和30年代に終わっていた。

超高齢化で衰退が懸念される場所は、山村だけではない。
都市部を含め、日本中にある。

職住分離の抱えるリスク
がむしゃらに働き、ご飯は外食、結構な家賃と光熱費を払っていながら、
家に帰ったら寝るだけ。
通勤に1時間かかるというのは、通勤する側にとっては大変な非効率。

農村部からあふれた人口は、都市部で消費される。
労働の中で消費され、子孫を残さず消える。
少子化という現象は、人が都市部で消費された結果。

お金はあまりなくても、幸せになれる場所はある。

将来世代のことこそ、いつも最優先であるべき。


p.68
住居も職場も、昔のような共同体ではない。
とりわけ高齢者になったときに、どこにも属さず一人ぼっちで都会に住む人は
苦しむことになるでしょう。
コミュニティの消滅が見られるのは、限界集落ではなく、大都市において。

限界集落の問題を考えることは、日本全体の再生を考える糸口になる。

「観光地」は脱・B級志向で強くなる
町の将来を考えることは、すなわち子供たちの将来を考えること。

ダメな地域は、
B級グルメ、単発イベント、ゆるきゃら
の3つを必ずやっている。

お客様の側から見て求められるのは、
今だけ、ここだけ、あなただけ、と提示されたもの。
この3つの「だけ」。
これが揃ってないと、わざわざその地まで赴く必然性がない。

「農業」再生のカギは技能にあり

農業の基本というのは、今ある自然エネルギーを使って生き物を育てること。
いかに効率的に太陽エネルギーを使うか?

いい農家は、無料の太陽光線を上手に使うことができるので、
結果的にいいものが安くできて、高く売れる。