定年後の居場所2025年12月30日

定年後の居場所
定年後の居場所
楠木 新 著     朝日新書   935円

元気なうちに
銀行の預貯金や証券会社の投資商品、不動産などをリストアップしておく。
財産増減一括表を含めた資料は一か所にまとめておく。
・銀行の預金通帳
・証券会社からの保有財産一覧表
・不動産の登記簿
・保険証券
などを専用の一つのカバンの中に入れておいて
「自分に何かあったときには、ここを見ればよい」と家族に伝えておく。

自分の財産を整理することは、終活にも効果を発揮する。

「日本一涼しい町、釧路」
1910年の観測開始以来、2020年まで
気温が30度以上の真夏日になったのは、わずか10日しかない。
(真夏は、釧路へ避暑に行くのも良さそう)
(真冬は、沖縄へ?)

東北の4大祭り
・青森のねぶた
・秋田の竿燈祭り
・仙台の七夕祭り
・山形の花笠まつり
日程が重ならないように設定されているので、祭り巡りをする。

神田駿河台にある明治大学の地下に「阿久悠記念館」がある。
過去の自分と出会えるタイムマシンのような空間だった。
https://www.meiji.ac.jp/akuyou/
(面白そうだ)
(入館料が無料というのも嬉しい)

身近な生活の中から楽しい事や意味のあることを探すことが大切。
毎晩、今日一日で良かったことを3つ挙げてみる。やっているうちに良いことを探す癖がつく。
定年後の居場所は、日常生活の中にある。

人との出会いを増やすには、4点ある。
・枠組みから1歩出る
・発信の姿勢が大事
・自分から先に与える
・出会える場所に身を置く

地元を愛する。
散歩する。

定年後は何をやってもいいし、何をやらなくてもいい。
自分は何をなすことができるかという観点だけでなく、気持ちよく過ごせるかがポイント。

お金がかかるからといって、好きなことや、やりたいことを簡単にあきらめない。
頭で考えていると難しく思えても、実際にやりだすと何とかなることが多い。
やっていくうちに知恵が出てくることこともある。
自分が本当にやりたいことをやっていれば、仲間が向こうからやってくる。また助けてくれることもある。

定年後の人生を充実させて、うまくお金を使うために大切なことは、
自らの主体性(好奇心)と行動である。
自分に合ったものに取り組むのは、それほどお金はかからない。

人生の目的は、自身の持つ財産を最大化することではなく、
自身の充実感や楽しみを最大化すること。
ならば、
生きているうちにお金を使い切ることは一つの選択肢である。

普段の生活で人と会う時に、一生涯にただ一度出会う機会かもしれないという一期一会の気持ちで接すること。
日常の生活を大切にすることがポイント。

死ぬ前の1か月間に食べる昼食をランキングする。

「自分を使って何ができるか」の姿勢で、誰かの役に立つことを真剣に考える。
他人に感謝され、評価される心地良さ。

定年後のお金 - 貯めるだけの人、上手に使って楽しめる人2025年12月27日

定年後のお金 - 貯めるだけの人、上手に使って楽しめる人
定年後のお金 - 貯めるだけの人、上手に使って楽しめる人
楠木 新 著    中公新書     1,478円

基本は、”DIE WITH ZERO”の考えを踏襲しています。
https://mansion.asablo.jp/blog/2023/08/10/9608692

”財産増減一括表”を作りなさい。
企業の貸借対照表(BS)を家計に転用する。
半年に1回でいい。
写真のように、各項目の増減を記入して、
定期的に決まった視点から見ることで、
家計財産の全体像とその推移が把握できる。
決まったタイミングで資産を継続的にチェックすることこそが大切。

投資信託などは、時価を記入する。
半年前に比べて正味財産がどれだけ増減しているかを確認し、家計改善の参考にする。

家計資産を考えるには、
元本割れの可能性がない、非リスク性資産と、
高いパフォーマンスは期待できるが元本割れなどの可能性がある、リスク性資産とに分ける。
一定額の現預金を確保したうえで、リスク性資産と非リスク性資産の割合を決めておく。

非リスク性資産は、
銀行の普通預金や定期預金、証券会社のMRF、個人向け国債など。
個人向け国債は、変動金利の10年がおススメ。

具体的配分と銘柄
半年から1年間の生活費を現預金で確保する。
投資の目標利回りは決めない。
60代の年齢では、リスク性資産は30%くらいだろう。
年齢が上がれば上がるほど、株式や投資信託などのリスク性資産の比率を下げるのが原則。

投資のフォローも大切
一攫千金を狙わない。
NISAなど節税を検討する。

老後資産は収支で管理
資産寿命をどう延ばすか?

会社員のライフサイクルは、60歳の定年後から74歳までと75歳以降、それに最期を迎えるタイミングの3つに分けるのが妥当。
お金の観点から見れば、
自己の裁量で自由にお金が使えるのは70代半ばまで。
まずは70代半ばまでを充実して過ごすことを目標にして、
それ以降のことは「その時になって考える」

お金は使うことによって初めて価値を持つ。
積極的に行動してお金を使っている方がイキイキする。
貯蓄の取り崩しも含めて、自己のライフサイクルに応じて、お金の収支を管理する。

お金の貯め方や増やし方は、お金の使い方とセット。
貯めただけでなく、使って初めてお金になる。
両者のバランスが重要。

うまい話は信用するな。
生きたカネを使え。

自分より下の世代に何かできることはないか、と考えてみる。

定年になると、会社以外の自分の居場所をどこに確保するのか?
当然ながら、各人各様である。

お金に過度の不安を抱くことを防ぎ、主体的に活動してお金を使う。
本当に自分のやりたいことにお金を使うことが幸せにつながる。

「好き」を言語化する技術(その2)最終回2025年12月18日

「好き」を言語化する技術(その2)
「好き」を言語化する技術
三宅香帆(みやけかほ)著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1,320円(税込)

続きです。
最終回です。

文章を書き始める前に
1.読者を決める
2.伝えたいポイントを決める

文章のゴールとは、
1.想定した読者に
2.伝えたいことが伝わること

書き出しが一番難しい
だから、
修正前提で、とりあえず書く。

書き出しのパターン
1.良かった要素を描写する
2.自分語りをする
3.「文脈」で始める
4.問いで始める

いったん最後まで書き終える。
修正する前提で、とにかく文章が変でもいいから書き終えてしまう。

ありきたりな言い方を避ける
「最高」 → どういうところが最高なのか?と考えて細分化する。
「やばい」 → どういうふうにやばい?と考えて言葉にする。
「考えさせられる」 → 何を考えさせられたのか?と考えて説明する。

書き終わったら、修正するクセをつける。
文章=何度も書き直すもの
別人になって、ポイントが伝わっているかを確認する。

修正方法
・文章の順番を変える
・いらない文章を削る
・見出しをつける

・どうしたらもっと読みやすい文章になるかな?
・伝えたいことが、これで伝わっているだろうか?
・もっと分かり易い言い方はないかな?
・削れる場所、どこかにないかな?

自分だけの感想を書くことで自分自身への理解も深まる。

この項、終わり。

「好き」を言語化する技術(その1)2025年12月17日

「好き」を言語化する技術
「好き」を言語化する技術
三宅香帆(みやけかほ)著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1,320円(税込)

真っ先に自分の感想をメモする(他人の感想を見ない)

他人の感想を見る前に次のプロセスを踏む。
1.良かった箇所の具体例を挙げる
2.感情を言語化する
3.忘れないようにメモする

1.良かった箇所の具体例を挙げる
自分が何に感動したのか?
どこを面白いと思ったのか?
なんであの場面にモヤモヤしたのか?
違和感を覚えたのは何故か?
など、自分の感情を細かく見ていく。

言語化に必要なのは「細分化」

自分は何所が良かったのかを具体的に思い出す。
箇条書きでOK。

「具体例」
・1曲目に○○の曲がきたこと
・○○のタイミングのMCで「○○」という発言が出たこと
・○○のダンスがうまくなっていたこと
・○○の衣装がかわいかったこと

・好きな/好きじゃないキャラクター
・印象に残ったセリフ
・すごく心に残っている場面
・ビックリした展開

・自分に響いた歌詞
・良かった場面/曲
・舞台装置で気に入った点
・ぐっときた衣装
・ピンときた人

・自分がなるほどと思った言動
・好きになったきっかけ
・今まででいいと思った現場
・好きな髪形や服装
・やってくれて嬉しかった仕事

良かった点だけでなく、違和感を覚えた点も

感動のオリジナリティは細かさに宿る

2.感情を言語化する
1で挙げた具体例に
・「どういう」感情を抱いたのか、
・「どういう」印象を持ったのか、
自分がどう思ったか、に焦点を当ててメモを取る。
そして、
・「どうしてその感情を抱いたのか」を書く。

ポジティブな感情を抱いた理由を考えるヒント
・自分との共通点を探す
・好きなものとの共通点を探す
・どこが新しいのかを考える

面白さとは「共感」か「驚き」である

ポジティブな感情の言語化プロセス
「共感」・・・既に自分が知っている体験/好みと似ている
「驚き」・・・今までに見たことのない意外性を感じる
この2つのどちらなのかを考える。

「共感」の場合
・自分の体験との共通点を探す
・自分の好きなものとの共通点を探す

「驚き」の場合
・どこが新しいと感じるのか考える

ネガティブな感情を抱いた理由を考えるヒント
「不快」だったのか?
「退屈」だったのか?
・自分の嫌な体験との共通点を探す
・自分が嫌いなものとの共通点を探す
・どこがありきたりだったのかを考える
不快の理由、退屈の理由を考える。
具体的にどこが?
具体的に細分化してみる。

この項、続く

60歳からの新・投資術2025年12月14日

60歳からの新・投資術
60歳からの新・投資術
頼藤太希(よりふじ たいき) 著    青春出版社   1,100円(税込)

表紙にある「取崩し前略」の部分が参考になります。

ほぼ”DIE WITH ZERO”を目指すなら、
資産の取り崩し期(70歳前後)に入ったら、
預貯金:300~500万円
キャッシュフローを生む資産:300~500万円
を確保したうえで、残りの資産を取り崩すことを考える。

”DIE WITH ZERO”という本は、これ。
https://mansion.asablo.jp/blog/2023/08/10/9608692

資産を運用しながら、少しずつ取り崩す。
「資本回収係数」というのがある。
https://www.ifinance.ne.jp/learn/lifeplan/lpl_10.html#sihonkaisyuukeisuu3
例えば、
年利3%で運用しながら15年かけて700万円の資産を取り崩すと、
700万円×0.08377=58万6千円62万9千円を毎年取崩せる
すなわち毎月4万8千円を取り崩せる、ということです。

年利4%なら、15年かけて700万円の資産を取り崩すと、
700万円×0.089940.08377=62万9千円を毎年取崩せる
すなわち毎月5万2千円を取り崩せる、ということです。
この場合、
75歳から90歳まで15年間、毎月5万2千円を取り崩しても
90歳時点で、
預貯金:300~500万円
キャッシュフローを生む資産:300~500万円は残っている。
もしもの時には預貯金が役に立つ。

キャッシュフローを生む資産が500万円で3%の配当があれば、
年間15万円(月額で1万2千円)が入ってくる。

金融機関によっては、運用している商品を決まった日に売却してくれるサービスもある。

人生において、やりたいことが出来る期間は限られている。
60代で出来ること、
70代で出来ること、
80代、90代では、出来ることに制約が出てくる。
お金は使うために貯めてきたから、
実現したいこと、
経験したいこと、
思い出に残したいことがあれば、使っても問題ない。

「タイムバケット」でやりたいことを明確に。
タイムバケットは自分の年齢や年代をバケツに見立てて、
各年代で自分がしたいことをまとめたもの。
いわば、
年齢別の「死ぬまでにやりたいことリスト」

ちなみに、
映画「最高の人生の見つけ方」の原題が”The Bucket List”でした。
いい映画です。
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンのコンビです。
おススメです。
日本版のリメイクもあります。
吉永小百合と天海祐希のコンビです。
https://wwws.warnerbros.co.jp/saikonojinsei/about.html

タイムバケットを作ると、
自由な時間があるから出来ること、
健康だから楽しめること、
お金があるから出来ることがそれぞれ違うことがわかる。
どんな経験にも、
いずれ「一生できなくなってしまう」タイミングが訪れる。
やりたことがあるなら、そのタイミングが来る前にやっておこう。

相場が暴落したら?
暴落があったときに最もやってはいけないことは、
慌てて売ること。
暴落に慌てて売ってしまうと、値下がりしたタイミングで利益(もしくは損失)が確定していまう。
そのうえ、その後の値上がりによる資産回復の恩恵も受けられなくなる。
回復までの期間は、1年から5年。

この項、終わり。

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その9:最終回)日本と朝鮮半島2025年12月09日

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その9:最終回)日本
あの国の本当の思惑を見抜く 地政学
社會部部長 (著)  サンマーク出版   1,800円+税

続きです。
最終回は日本です。

日本にとって今も昔も最も重要な地政学的課題は、朝鮮半島を守ること。
大陸勢力に対する日本の防衛線は、朝鮮半島と海の二重となっており、
日本は可能な限り大陸勢力の進軍を朝鮮半島でせき止め、
それが突破されれば九州で上陸を防ぐことを目指してきた。
・白村江の戦い(663年)・・・・水城や山城
・元寇(1274年と1281年)・・・・福岡市の元寇防塁
・豊臣秀吉の朝鮮出兵(1592年と1597年)
・日清・日露戦争(1894年、1904年)
・現代の北朝鮮問題

幕末になると、ロシアが大陸から
アメリカ、イギリス、フランスなどの列強が海から同時に迫ってきた。
ロシアこそが当時の最大の脅威であり、大陸に緩衝地帯が必要だった。

今日、日本と韓国は中国と北朝鮮という共通の脅威と直面している。

日本がユーラシア大陸の大陸国家と対峙するには、
他の海洋国家の助けを必要とする。
韓国、台湾との関係も重要。

地政学から学べること
・大国は皆不安を抱えている、どの国も特有の弱みを抱えている

アメリカは、
もしユーラシア大陸でアメリカを上回る超大国が成立すれば、太刀打ちできるだろうか、という不安を抱いている。

ロシアは、
自分たちは被害者で、アメリカがヨーロッパと組んで自分たちを脅かそうとしているとの見方が強い。

中国も、
日本を恐れている。
でも、今の最大の恐怖対象はアメリカ。
アメリカはアジア地中海の制海権を握っていて、中国東部を攻撃できる立場にある。

「相手も自分を恐れている」
恐怖の本質は、不確実性。
話し合いが必要なのは、この不確実性を軽減できるから。
お互いに生存を脅かすつもりがないのであれば、それを粘り強く伝え合うことで戦争の可能性は下げられる。

・アメリカは、なぜ世界中に基地を設けるのか?
・ロシアはなぜ領土拡大にこだわるのか?
・中国はなぜ強硬な態度に出るのか?
・日本はなぜ大陸の奥に突き進んだのか?

日本はどんな国になるべきなのか?
潜在敵国を絶対的な悪者と見ないこと。
話し合い、お互いの理想と現実を明らかにすれば、安全保障のジレンマを軽減し、平和的に解決する道が開ける。
日本の国益を最大化するには、粘り強く対話を続けることが最も妥当な手段だ。

この項、ようやく終わりです。

地政学、面白いです。
この本は、最初は図書館で借りて読んでましたけれど、
ずっと手元に置いておきたくなったので、ネットで購入してしまいました。
ご興味がある方にはお貸ししますよ。

おススメの1冊です。

「13歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海」という本も面白かったです。
https://mansion.asablo.jp/blog/2025/09/04/9800819

それから、
「第三次世界大戦はもう始まっている」という本で、地政学に興味を持ちました。
https://mansion.asablo.jp/blog/2025/07/29/9792380

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その8)中国と台湾2025年12月05日

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その8)
あの国の本当の思惑を見抜く 地政学
社會部部長 (著)  サンマーク出版   1,800円+税

続きです。

世界には
ヨーロッパ地中海
アメリカ地中海
アジア地中海、の3つの地中海があり、共通の連鎖関係を形成している。

ヨーロッパ大陸 ― ヨーロッパ地中海 ― アフリカ大陸
北米大陸 ― アメリカ地中海 ― 南米大陸
アジア大陸 ― アジア地中海 ― オーストラリア大陸

また
ヨーロッパ地中海は、インド洋と大西洋を
アメリカ地中海は、太平洋と太西洋を
アジア地中海は、太平洋とインド洋を東西に繋いでいる。

要するに、
各地中海は南北2つの大陸、東西2つの海洋の間に挟まる位置にある。

アメリカは次の3段階を踏んで大国に成り上がった。
1.北の大陸で領土拡大
2.地中海の制海権確保
3.南の大陸の中立化

中国は、かつてのアメリカと同じ道を辿ろうとしている。

アメリカ地中海とアジア地中海の共通点は、海上交通の要衝があること。
アメリカ地中海には「パナマ運河」
アジア地中海には「マラッカ海峡」という2つの大洋を結ぶ要衝がある。

北の大陸 ― 地中海 ― 南の大陸、という枠組みで米中を比べると、アメリカは順調に成功を収めたのに対し、中国は3つすべての地域で大小さまざまな問題を抱えている。

現在の中国は、東の沿岸部に経済的中核が移ってきている。
人口の3分の1以上、GDPの7割以上が沿岸部に集中している。
戦略縦深を保つためには、国の入り口の向こう側で敵を迎え撃つことが、今日の中国の必然的な戦略となる。
政治、経済、文化の中心になっている東部沿岸部は緩衝地帯を必要としている。
そして、この緩衝地帯の東端は第1列島線。
第1列島線に関して、アメリカと中国は正反対の意義がある。
アメリカにとって中国海軍は海の遊牧民で、自分たちが支配する太平洋に出てくることを阻止するために、第1列島線に万里の長城を築いて見張っている。
中国からの視点では、
中国にとってはアメリカこそが海の遊牧民。
理想的には、東シナ海と南シナ海は自分たちの勢力圏であるべきで、
そのためには第1列島線を自分たちで管理しなければならない。

台湾
第1列島線を突破するうえで、台湾にはどの島をも上回る戦略的価値がある。
中国沿岸部全体の中で、台湾はほぼ真ん中にあり、中国本土に最も近い。
だからこそ、
現状、アメリカや日本が台湾を守るためにさまざまな支援を施していることは、アメリカ人や日本人が思う以上に、中国を刺激する。
逆に、
中国が台湾を自らの手に収めれば、第1列島線を一気に破ることができる。
台湾は太平洋に直接面しているため、その東岸に海軍基地を設ければ、中国海軍は太平洋に安全に出られる。

この項、もうちょっと続くかも?

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その7)ロシアとウクライナ2025年11月30日

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その7)
あの国の本当の思惑を見抜く 地政学
社會部部長 (著)  サンマーク出版   1,800円+税

続きです。

ロシアは弱点を克服して成り上がった大国。
ロシアを今日まで悩ませてきた諸悪の根源は、北ヨーロッパ平野。
この平野はフランスのピレネー山脈からロシアのウラル山脈まで広がり、
その内側に、
フランス
ベルギー
オランダ
ドイツ
デンマーク
ポーランド
リトアニア
ラトビア
エストニア
フィンランド
ベラルーシ
ウクライナ
モルドバ
ルーマニア
ブルガリア
カザフスタン
と、多数の国を含有する非常に広い平野だ。
過去500年の間にロシアを本格的に脅かした敵勢力は
全てこの北ヨーロッパ平野からやってきた。

1605年にはポーランド
1707年にはスウェーデン
1812年にはフランス
1914年と1941年にはドイツが、
この平野から来襲して、ロシアを滅亡寸前まで追い詰めた。

障害物が何もない平野で、敵の侵攻を防ぐには、
防御を有利にするために、少しでも外敵との距離を確保しなければならない。

ロシアの西の世界への神経質な態度の源泉には、
この平坦で外国軍の侵入を容易に許してしまう地理的繋がりがある。
ロシアとその西の国々との国境には自然的障壁が存在しない。
政治的に隔てられていても、地理的には繋がっている。
ロシアは強いから広いのではなく、弱いから広くならざるを得ない。

第1次大戦後、東欧諸国で独立国家群が誕生し、
ドイツとロシアの間に緩衝国が入った。
両国は物理的に離れ、お互いを恐れずに済む。

第2次大戦でドイツが東欧を突破し、ソ連まで進攻した。
ソ連は反転攻勢でベルリンまで進軍し、ソ連が東欧を制した。
戦後ドイツは東西に分割された。

その後、冷戦が終結し、1990年に東西ドイツが統一された。
ロシア人は、冷戦終結とは米ソの歩み寄りでなされたと捉えている。
アメリカ人は、冷戦終結はアメリカが勝利した証拠だと考える。

こうした両国の齟齬が解消されないまま、
NATOは20年かけて東へ拡大した。

1999年に、
チェコ
ハンガリー
ポーランド

2004年に、
ブルガリア
エストニア
ラトビア
リトアニア
ルーマニア
スロバキア
スベロニア

2009年から2020年の間に、
アルバニア
クロアチア
モンテネグロ
北マケドニア
がNATOに加わった。

どんどん狭まる緩衝地帯を前に、ロシアは危機感を募らせた。
ウクライナは東欧に残された貴重な緩衝国であり、
ロシアはこれを死守したがっている。

ロシアがクリミア半島にこだわる理由の一つは、
ここが海への出入りをするうえで重要な海上交通の要衝だから。

ロシアの海洋進出を阻む地理的障壁は2つ。
第1の障壁は、重要な海域が分散していること。
北極海
バルト海
黒海
太平洋の4つに分かれている。
そのため、海軍力を分散して配置しなければならない。

第2の障壁は、
外洋への出口がふさがれていること。
ロシアの海岸は北極海を除いて、すべて内海に面している。
狭い海峡によってしか外洋とつながっていない。

オホーツク海は唯一安全な内海。
ここは海底も深いので核兵器を搭載した原子力潜水艦を隠すためにも使える。
この戦略的重要性から、ロシアが北方領土を返還する可能性は、今後もかなり低い。

海峡を安全にするためには、その両岸を支配しなければならない。

ロシアが2022年からのウクライナ戦争で犯した失敗は、
フィンランド(2023年4月)とスウェーデン(2024年3月)のNATO加盟を促してしまったこと。

ウクライナにおける一連の戦争は、
大陸勢力と海洋勢力の長い戦いのほんの一部。
東欧の地理は変わっていないし、
ウクライナがドイツとロシアの間の緩衝地帯である位置づけも変わっていない。

この項、まだ続く。

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その6)アメリカ2025年11月26日

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その6)
あの国の本当の思惑を見抜く 地政学
社會部部長 (著)  サンマーク出版   1,800円+税

続きです。

海洋国家アメリは、大陸諸国を助けて何を得るのか?

地政学では、世界は1つの大陸(ユーラシア大陸)と
それを囲む島々(北米、南米、アフリカ、オーストラリア、南極、イギリス、日本など)で構成されると解釈する。
なぜユーラシア大陸のみを「大陸」と表現するかというと、
ここがそれだけ単一の陸地として格別の力を持つから。

ユーラシアは地球上の陸地全体の約4割を占める、地球最大の大陸。
人口は世界全体の7割、世界のGDPの6割が集中する。
天然資源も豊富で、
石油埋蔵量は6割
天然ガスの7割
石炭の5割がこの大陸に埋まっている。

世界を征服できる勢力を持つ国を「覇権国」と呼ぶが、
この覇権国が出現する唯一の大陸が、ユーラシア大陸だ。
なぜなら、
この大陸のみが圧倒的な人口、資源、工業力を有し、
残りの島々を征服できるほどの勢力を持つから。

ユーラシア大陸を制する者は世界の運命を制する。

この大陸には、潜在的に征服を実現できる大国がたくさんある。
フランス、ドイツ、ロシア、中国など。
陸でつながっているので安全保障のジレンマを抱えやすい。
ときには、潜在覇権国とよばれるような、群を抜いて強い国が現れる。
そうすると、勢力均衡の原理が働き、
他の大陸諸国は対抗連合を組んで潜在覇権国を封じ込めようとする。
しかし、対抗連合よりも非常に強い潜在覇権国が登場することもある。
例えば、
ナポレオンは一時ヨーロッパの全土を征服した。
第2次大戦時のドイツもそう。
第2次大戦後のソ連も非常に強力だった。

このように強力な大陸国家を放置していると、海洋国家まで危うくなる。
覇権国となった国は、
ユーラシア大陸の膨大な資源を活用して大海軍を創設する。
覇権国は、その大海軍で沖合の島々を征服していく。
従って
沖合にある島々(海洋国家)がとるべき方策は、勢力均衡の操作。
海洋国家は大陸にテコ入れして、
潜在覇権国と対抗勢力の勢力均衡を保たなければならない。
例えば、
・NATO設立
・冷戦期の経済援助
・大陸諸国が攻撃された時は派兵する

大陸勢力と海洋勢力の闘争という形、永遠の対立

第1次大戦では
潜在覇権国:ドイツ
海洋国家連合:イギリス、アメリカ、日本、フランス、ロシア

第2次大戦では
潜在覇権国:ドイツ(ヨーロッパ)、日本(東アジア)
海洋国家連合:イギリス、アメリカ、フランス、ソ連

冷戦期
潜在覇権国:ソ連
海洋国家連合:イギリス、アメリカ、フランス、西ドイツ、日本

現在、大陸で最強の国は中国。
アメリカはその周辺の国々と同盟網を構築し、中国の台頭を抑えようとしている。
アメリカが対抗する理由は、中国がユーラシア大陸を制覇しかねないほど強い潜在覇権国だから。
アメリカを根底で動かしているのは、
「大陸の勢力均衡を保たなければ生存できない」という防衛本能。

全人類の生活が均衡に達したとき、初めて幸福な世界が生まれる。
均衡こそ自由の基礎である。(by:マッキンダー)

この項は、更にまだまだ続く。

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その5)アメリカ2025年11月25日

あの国の本当の思惑を見抜く 地政学(その5)
あの国の本当の思惑を見抜く 地政学
社會部部長 (著)  サンマーク出版   1,800円+税

続きです。

アメリカは実は弱い。
第2次大戦後アメリカは29回の戦争に参加したが、
そのうち勝利したのは17回、引分は3回、敗北は9回
勝利は全体の6割。
決して「無敵」ではない。

今日の世界で反米連合が存在しない理由は、
アメリカがそれほど圧倒的に強いわけではないから。
むしろ、
アメリカよりもロシアや中国を恐れている国が多い。
大陸国家は海洋国家よりも潜在的覇権国と認識されやすく、
対抗連合も形成されやすい。

国家にとって最大の脅威は近接する国の陸軍。
上陸という極めて難しい段階を踏まなければならない海軍と違い、
陸軍は他国に攻め入るのがより容易だ。

ある国にとって最も恐るべきなのは、遠い国ではなく、近い国。
大陸の潜在覇権国(中国、ロシア)にとって、
近接する国(日本、ドイツ)が勢力を持つくらいならば、
遠く離れた海洋国家(アメリカ)に持ってもらった方が、まだ安心できる。

この項、まだ続く。